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世界平和に被爆地の役割は 広島大など国際シンポ

 世界情勢の安定に向け、被爆地が果たす役割を探る国際シンポジウムが21日、広島市中区の広島国際会議場であった。広島大平和科学研究センター(平和科研)と新潟県立大が企画し、国内外の研究者や元外交官たち10人が討議。約80人が聴いた。

 広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長は、核をめぐる国際情勢を踏まえ、被爆地の平和の訴えが世界に届いているかを検証。「核軍縮の促進へ大きな成果を上げたとはいえないが、一定の影響はある。希望を失わず、訴え続けないといけない」と述べた。

 平和科研の川野徳幸教授は、被爆者の高齢化を念頭に「ヒロシマの持つ意味は不変でも、私たちは体験に基づいて語ることができなくなる」と問題提起。「被爆者がどんな体験をしたかさえ、理解できていない若者が多い」とし、教育を充実する必要性を強調した。

 米国のシンクタンク、スティムソンセンターのブライアン・フィンレイ氏は、被爆者の証言に感銘を受け、研究者になった自身の体験を紹介。「国際社会を動かすのは政府だけではない」として、市民社会や民間企業などの影響力の大きさを指摘した。

 このほか米国、英国の大学教授や国連の大使経験者が国際機関の強化策についても議論した。(田中美千子)

(2014年11月22日朝刊掲載)

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