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ヒロシマ 世界にどう発信 東京でシンポ ユンクの功績 議論

 原爆被害や原発の危険性を発信したドイツ出身の国際ジャーナリスト、ロベルト・ユンク(1913~94年)の功績を考えるシンポジウム「越境するヒロシマ」が23日、東京大駒場キャンパス(東京都目黒区)であった。研究者が、ユンクが世界に問い続けたヒロシマの意味を議論した。

 約60人が参加。主催した同大ドイツ・ヨーロッパ研究センターの石田勇治教授(ドイツ近現代史)は「ノーモア・ヒロシマの声が世界的に聞かれなくなっている。本当にヒロシマは越境していると言えるのか」と問題提起した。

 基調講演では、名古屋大の若尾祐司名誉教授(同)が、広島市を訪問したユンクによる著作やドキュメンタリーが「欧州の反核運動に大きな影響を与えた」と強調。一方で、ユンクを研究した学術論文がほとんどない状況を示し、「本格的な思想ができていない」と指摘した。

 個別報告で登壇した広島市立大の竹本真希子講師(同)は、旧西ドイツと日本のそれぞれの平和運動を解説。「ヒロシマは、アウシュビッツほど世界的なコンセンサス(合意)をまだ得ていない」と述べた。

 東京大駒場キャンパスの駒場博物館では、ユンクの足跡を資料や写真でたどる特別展が来月7日まで開かれている。火曜休館。(藤村潤平)

(2014年11月24日朝刊掲載)

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