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ヒロシマの声 受け継ぐ マリールイズさんがルワンダ原爆展報告

 母国ルワンダで今夏、原爆展を開いたNPO法人「ルワンダの教育を考える会」(福島市)理事長の永遠瑠(トワリ)マリールイズさん(49)が、広島市中区の広島県被団協の事務所を訪れ、坪井直理事長(89)に面会した。20年前の大虐殺から復興に歩む同国での開催を報告し、被爆の惨禍を今後も語り継ぐ決意を互いに新たにした。

 原爆展は8月6~10日、首都キガリで開催。マリールイズさんは初来日した1993年に広島を訪れて以来、「ヒロシマ、ナガサキのことを母国で伝えたい」と願い続け、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員の協力を得て、今回ようやく実現させた。

 中学生や大学生が訪れ、「ルワンダが一番大変だと思っていたが、日本の方がもっと大変だと知った」「みんなこの歴史を知らないといけない」などと感想を話した。「毎年開き、平和について考える機会をつくってほしい」との励ましを受けたことも坪井さんに説明した。

 大虐殺と原爆投下、それぞれ悲劇を経験した2人は、平和実現という共通の目標を掲げる。話は、1時間半にわたって弾んだ。マリールイズさんは「坪井さんのように被爆から生き抜いた人の声を受け継ぎ、二つの国をつなぎたい」。坪井さんは「世界には平和のために尽くそうと努力する人がいる。刺激をもらったので、もう一踏ん張りしたい」と力を込めた。(山本祐司)

ルワンダ大虐殺
 アフリカの小国ルワンダで、多数派フツ人が、長年対立していた少数派ツチ人を大量に殺害した。1994年4月6日、フツ人のハビャリマナ大統領たちが乗った航空機が首都キガリで撃墜されたのをきっかけに、フツ人主体の政府軍や民兵が同年7月までの約100日の間、ツチ人や、フツ人のうち穏健派たち80万~100万人を殺害したとされる。

(2014年11月24日朝刊掲載)

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