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中電「攻め」の経営も…域外供給に難 関電入札への参加見送り 問われる地元対応

 関西電力に電力を供給するための入札参加を見送ると26日に発表した中国電力。原発の稼働という地域の懸念が強い課題を抱えながら、域外供給による「攻め」の経営で電力自由化に対応する難しさが浮き彫りになった。(山瀬隆弘)

 中電は、エリア外に新たな収益源を求めて火力の三隅発電所(浜田市)2号機の建設前倒しを検討したが、地元の理解を十分には得られなかった。島根原発(松江市)の地元からは、管内の安定供給のための原発再稼働と、三隅2号機の建設が矛盾するとの指摘があった。

 中電は「地元への配慮」を不参加の理由に挙げないが、経営陣には「地元全体の了解を得るのが大事」との声もある。

 中電はこの日、三隅2号機を老朽化が進む火力発電所の「代替電源」と強調した。地元向けの発電所の後継との位置付けだ。しかし国は2016年からの電力小売り全面自由化で電力会社間の競争を促す。中国地方の需要が伸び悩む中、管内向けの発電所の更新ばかりでは、域外に攻勢を掛ける他社に後れを取る。

 島根原発2号機の再稼働と、3号機の新規稼働を目指す中電。今後も、域外供給のために火力発電などを増強する場合、今回と同様のハードルに直面する可能性がある。原発の稼働を目指す理由と、電力自由化への対応の在り方についての説明を、地域にさらに重ねていく必要がある。

電力小売りの自由化
 大手電力会社の地域独占をやめ、新規企業の参入を促して電力を自由に販売できるようにする取り組み。大口の企業向けは既に自由化されている。2016年には家庭向けも市場開放され、全面自由化される。大手電力が地域を越えて電力を供給し合うなど競争が進み、電気料金の抑制などが期待される。

(2014年11月27日朝刊掲載)

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