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苦労実った「3・11女子米」 震災移住者ら安浦の女子畑で栽培 無農薬 安全・安心思い込め

 東日本大震災を機に関東地方から広島県呉市や周辺地域に移住した家族やボランティアが、同市安浦町女子畑(おなごばた)で無農薬米を育て「3・11女子米(おなごまい)」と名付け販売を始めた。食の安全・安心の大切さをかみしめ、震災を記憶にとどめてほしいと訴える。(小島正和)

 子どもたちに自然体験の場を提供するボランティア団体Team JIN「仁」(平中哲朗代表)と、移住してきた2家族や学生有志たち計約25人が実行委員会を結成。耕作放棄地だった女子畑の田んぼ計53アールを無償で借り、昨年秋から取り組んだ。

 東京電力福島第1原発事故を経験した移住者の思いをくみ、無農薬にこだわる。化学肥料も使わず、竹の粉末や菜の花、刈り取った雑木を有機肥料として土に混ぜるなどした。

 「雑草やカメムシに手を焼いた」と、平中代表は無農薬栽培の苦労を振り返る。地元自治会の助けも借りつつ農作業をこなし、9月末にヒノヒカリ1・6トンを収穫した。東京から移ってきた神原将さん(40)=呉市西中央=は「香りがよく、子どもがおかわりする」と満足げだ。

 女子畑での米づくりは、移住者家族と呉市民の輪を広げ、被災地に思いをはせるため続けていく。ことしの収益は活動費に充てる。

 販売に回す米は計550キロ。用いた肥料別に3種類あり、いずれも3キロ2千円、5キロ3千円で通信販売する。平中代表Tel090(7278)9333。

(2014年11月30日朝刊掲載)

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