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胎内被爆者 新たに対象 次代への伝言 自分史作り 相談員の会 第5集へ始動

 原爆被害者相談員の会(広島市中区)は、被爆者たちがつづる自分史を収めた本「生きる」シリーズの第5集の刊行に向け、活動を始めた。高齢化を踏まえ、今回から胎内被爆者にも対象を広げる。7日、中区地域福祉センターで講演会を開き、参加した被爆者に執筆を呼び掛けた。(馬場洋太)

 講演会には約40人が参加。講師で、被爆者の自分史を残す運動の提唱者である栗原淑江さん(67)=東京都荒川区=が「原爆の話だけでは実感がわかない人も多い。被爆が人生に及ぼした影響を進学や就職、結婚などと重ね合わせて語れば、読む人が追体験しやすくなる」と呼び掛けた。

 その後の懇談では、栗原さんは「一気に大作を書こうとせず、映画のシーンのように場面ごとに書きためていけばよい」などとアドバイスしていた。

 参加した胎内被爆者の洋画家星野菊子さん(69)=福山市=は「視力が落ちる前に、仲間と一緒に書き留めたい」と意欲を見せた。

 「生きる」シリーズは1995~2012年に計4集を刊行。延べ47人分を掲載している。第5集は10~15人分の予定。被爆者が執筆する原稿を基に、記憶があいまいな部分などを相談員の会のメンバーたちが補足するなどサポートする。

 来年2月14日から、執筆者対象の会合を6回重ね、2016年7月に出版する計画。三村正弘代表(69)は「被爆者が高齢化する中、これまでは語る資格がないと思っていた比較的若い被爆者にも積極的に参加してほしい」と話している。三村代表Tel090(7375)1211。

(2014年12月8日朝刊掲載)

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