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トーマス・カートライト氏死去 90歳 捕虜の元機長 同僚被爆死

 太平洋戦争末期に呉沖で撃墜された米軍B24爆撃機の元機長で、広島で捕虜となった同僚6人を原爆で失ったトーマス・カートライトさんが11日、米西部ユタ州のモアブにある自宅で死去していたことが分かった。90歳。関係者が明らかにした。

 1945年7月28日、沖縄から飛来し呉沖で爆撃中、対空砲火を受けて山口県伊陸村(現柳井市)に墜落した。パラシュートで脱出し、連行された広島で同僚の乗員6人と再会。自身は直後に東京へ移送されたため被爆を免れたが、乗員6人は、拘束されていた中国憲兵隊司令部(現広島市中区)などで原爆の犠牲になったとされている。

 90年代から広島や柳井の住民らと交流を深め、99年に同僚を慰霊するため来日。墜落時の状況を知る住民や、被爆直後の同僚を目撃した人たちと面会した。

 24年、米南部サウスカロライナ州生まれ。牛の品種改良を研究し、テキサス農工大名誉教授。戦争体験を回顧録にまとめ、2004年に日本語版「爆撃機ロンサムレディー号」を出版した。(金崎由美)

(2015年1月16日朝刊掲載)

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