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2号機審査が本格化 島根原発 全停止3年 再稼働 地元の不安強く

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)は27日、1、2号機とも稼働しない「全停止」となって丸3年を迎えた。1号機は中電が3月末までに廃炉を判断する見込みだが、2号機は再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査が本格化。新年度には地元が稼働の判断を問われる可能性がある。全停止期間は最長を更新し続けるが、地元には稼働への不安が根強い。

 「福島第1原発事故が起きたのに、なぜ島根原発からの脱却を考えないのか」。市民団体「島根原発・エネルギー問題県民連絡会」の保母武彦事務局長は26日、島根県が3月に改定する再生可能エネルギー普及計画を県と議論した同市で、担当者に迫った。

 連絡会は昨年2月、脱原発条例制定を県に求めたが3月に否決された。脱原発を目的とした普及計画こそ「説得力を持つ」と訴えた保母事務局長には、「脱原発の世論に県が向き合わないまま2号機がなし崩しに動く」との懸念があった。

 溝口善兵衛知事は「再稼働は国の責任」との姿勢。一方、安倍政権は原発が再稼働した立地自治体への交付金制度を設けるなど地ならしを急ぐ。規制委の審査に「合格」した原発は「再稼働を進める」という。

 その規制委による2号機の審査はピッチが上がってきた。先行した加圧水型の審査が進み、島根原発など沸騰水型も審査態勢が整ってきたためだ。

 「規制委も国も、穴だらけの避難計画を充実させる責任は持たない。福島の教訓はどこにいったのか」。雲南市の無職田中繁行さん(63)は疑問を投げ掛ける。

 2号機が審査に合格すれば、再稼働の是非をめぐる地元の合意形成が焦点となる。稼働を左右する発言権がない原発30キロ圏の1県5市は権限を求め続ける構え。溝口知事は「意見調整の仕組みは国がつくるべきだ」とするが国は静観しており、難航する可能性もある。

 中電はほぼ完成した3号機も、運転開始に向けて規制委への審査申請を検討中だ。2号機の審査中の申請も「可能性としてある」(清水希茂副社長)という。(樋口浩二)

島根原発の全停止
 1号機は原子炉機器の点検不備問題を受け、2010年3月31日に運転停止。同11月、定期検査に入った。2号機は12年1月27日に定期検査入りし停止。原子力規制委員会の新規制基準に沿った安全工事は、1号機で手付かずの部分が多い。

(2015年1月28日朝刊掲載)

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