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松江市に寄付 中電継続 15年度 漁業振興名目3000万円

 中国電力が島根原子力発電所の立地する松江市に対し、2015年度も漁業振興名目の寄付を続けることが18日、分かった。3号機の新設に伴う交付金でできた漁業施設の運営費約3千万円で、寄付は11年連続となる。中電のコスト意識と市の寄付金依存の体質が問われる。

 施設はアワビの種苗を育成・販売する同市鹿島町の鹿島・島根栽培漁業振興センター。中電による原発敷地内でのアワビ生産を3号機の交付金などを基に市が引き継いだ。寄付は05年度の施設稼働から始まり、15年度までの総額は3億3千万円。15年度分は、当初予算案に盛り込まれている。

 寄付は3号機建設前の02年1月、旧鹿島、島根町(ともに現松江市)と島根県、両町の旧3漁協(現JFしまね)と結んだ覚書に沿う。施設の15年度の運営費は約5300万円を見込む。年間売り上げは毎年1千万円前後で推移しており、寄付なしの運営は困難な状態が続いている。

 市政策企画課は「覚書に基づいた寄付」とし、辞退や施設廃止は検討していない。中電は「地元の発展につながり、寄付は重要」とし、覚書を見直す考えはないという。

 寄付金は、総括原価方式と呼ばれる仕組みで電力料金のコストに反映されるため、原価が膨らむとの批判もある。(松島岳人)

(2015年2月19日朝刊掲載)

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