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立場の違いを岸田外相強調 核兵器禁止文書

 核兵器禁止に向けた努力を誓おうとオーストリア政府が各国に賛同を求めている文書について、岸田文雄外相は20日の記者会見で「各国がさまざまな取り組みをしている」と述べ、段階的な核軍縮を目指す日本政府との立場の違いを強調した。賛同の可否は明言しなかった。

 岸田氏は、オーストリアの文書を「5年に1度の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を成功させるための取り組みの一つ」と評価した。一方で、日本などが主導する非核保有12カ国による軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)を挙げて「わが国は、再検討会議に貢献するべく努力を続けている」と述べ、核兵器禁止・廃絶に向けた法整備などの必要性を訴えるオーストリアとは距離を置く姿勢を示唆した。

 文書は1月半ば、国連の全加盟国に配布された。賛同が広がれば核兵器禁止条約の交渉入りの後押しになる可能性もあり、各国の対応が注目されている。外務省幹部は「(日本政府は)賛成も反対もしない」との考えを示し、賛同しない方向で検討していることを明らかにしている。

(2015年2月21日朝刊掲載)

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