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父の闘い 手紙でしのぶ 辛韓国総領事 平岡元広島市長と閲覧

■記者 小笠喜徳

 3月に着任した韓国の辛亨根(シンヒョングン)広島総領事(57)が25日、父親で元韓国原爆被害者協会会長の故辛泳洙(シンヨンス)さんの関係資料を保管する広島大文書館(東広島市)を訪れ、父親の手紙などを初めて閲覧した。

 資料は、在韓被爆者の窮状を先駆けて報道した元中国新聞記者の平岡敬元広島市長(83)が、2004年に同館に寄贈した888点の一部。

 平岡さんと共に同館を訪れた辛総領事は、泳洙さんが1970~92年に平岡さんに宛てた協会の活動を知らせる手紙や、日本政府に宛てた在韓被爆者救済の要望書のコピーなど計40点を食い入るように読んだ。

 辛総領事は「昔の父の字を読み、懐かしさがあふれた。これから研究する方々に役立ててほしい」、平岡さんは「泳洙さんの息子さんが広島総領事となり驚いた。お見せできてよかった」と話した。

 泳洙さんは1974年に在韓被爆者で初めて被爆者健康手帳の交付を受け、1999年に80歳で亡くなった。

(2011年4月26日朝刊掲載)

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