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伊方再稼働 審査大詰め 瀬戸内海沿い唯一の原発 30キロ圏 山口県が防災対策

 山口県上関町の一部が半径30キロ圏に入る伊方原発3号機(愛媛県伊方町、出力89万キロワット)の再稼働に向けた適合性審査が大詰めを迎えている。四国電力が近く、原子力規制委員会の審査を踏まえて当初の申請を修正する補正書をまとめる。瀬戸内海沿いに立地する唯一の原発で、中国地方も事故への備えを迫られる。

 四国電の千葉昭社長は、耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」がほぼ確定した審査の現状を「大きなヤマは越えた」と説明。日程的に本年度内の再稼働は「無理」とする一方で、「新年度は何としても動かす。従業員が力を合わせ、早期再稼働を目指す」と強調する。

 福島第1原発の事故後、国は事故に備えて防災対策を重点的に取る地域を従来の半径8~10キロ圏から30キロ圏に広げた。上関町の離島・八島が30キロ圏に入り、山口県が島内に放射線監視装置(モニタリングポスト)を設置するなど防災対策を進めている。福島第1原発の事故に伴う放射性物質や汚染水の海洋流出を踏まえ、事故時には瀬戸内海で深刻な漁業被害が生じるとの指摘も出ている。

 四国電は2013年7月、伊方3号機の適合性審査を規制委へ申請。原子炉設置変更許可申請に規制委の指摘を反映させる補正書を今月、提出する方針で、審査は最終段階に入る。(山瀬隆弘)

(2015年2月22日朝刊掲載)

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