×

ニュース

岩国沖に藻場造成へ 山口県 米軍再編交付金を活用

 山口県は2015年度、岩国市保津、端島沖で藻場の造成を始める。米海兵隊岩国基地(岩国市)の滑走路沖合移設事業に伴う藻場の減少などで漁獲が落ち込む中、産卵の場や稚魚のすみかとなる藻場を増やし、資源を回復させるのが目的。在日米軍再編に伴う都道府県向けの新交付金8500万円を活用する。

 県漁港漁場整備課によると、藻場造成は保津沖の1万2千平方メートル、端島沖の3800平方メートルの両エリアで実施。水深3~5メートルの浅場計72カ所で、15メートル四方の範囲に高さ1メートル程度の天然石を投じる。1~2年でガラモなどが生えて藻場ができ、石の隙間などに魚がすみ着くという。

 保津沖の造成予定地から約4キロ北東では、岩国基地の滑走路沖合移設に伴って08年までに約200ヘクタールが埋め立てられ、約41ヘクタールの藻場が失われた。

 岩国市漁協は漁獲の減少を懸念し、移設事業が本格化する前の1995年から藻場造成を県に要望。県は国に繰り返し予算化を求めたが、認められたのは一部にすぎなかった。政府が在日米軍再編に伴う都道府県向け交付金制度を15年度創設。県が交付先の第1号になったのを受けて造成に取り組むことにした。

 造成予定地の周辺などで刺し網漁や小型底引き網漁をする岩国市、由宇、柱島の3漁協の08年の漁獲量はメバルやカレイなどを中心に418トン。漁業者の高齢化や担い手不足もあって漁獲は減り、12年は6割強の273トンまで落ち込んだ。

 県漁港漁場整備課は「藻場の再生に大きく弾みがつく」と強調。岩国市漁協の上村高志参事(63)は「沖合移設事業が漁獲の減少に与えた影響は大きい。資源の回復に期待したい」と話している。(門戸隆彦)

(2015年2月27日朝刊掲載)

年別アーカイブ