×

ニュース

中台被爆者 国提訴へ 23日広島地裁 集団訴訟に初の参加

■記者 金崎由美

 国外居住を理由に被爆者援護法による手当の受給権が認められず精神的損害を受けたとして、中国と台湾の被爆者が23日、国に損害賠償を求め、広島地裁に提訴する。これまでに米国など6カ国の約3千人が起こしている集団訴訟の一環で、中国と台湾の被爆者が加わるのは初めて。

 弁護団や支援団体によると、中国の原告は戦時中、広島高等師範学校(現広島大)に留学して被爆した王大文さん(85)=南京市。1981年に来日し被爆者健康手帳を取得したが、国外居住は手当の受給権を失うとした旧厚生省通達により健康管理手当を受ける権利を認められなかった。2003年に通達が廃止され、翌2004年からは受給している。

 台湾の原告は67~97歳の被爆者計11人と亡くなった1人の遺族。広島で被爆したのは6人、長崎は亡くなった1人を含む6人。  在外被爆者援護をめぐっては、厚生省通達を違法とする最高裁判決が2007年に確定。国側は、集団訴訟で事実関係が認定された被爆者と順次和解し、各原告に慰謝料など約100万円を支払っている。

 王さんを支援する広島県原水禁の金子哲夫常任理事は「一人でも多くの在外被爆者が生きているうちに、日本人と同じ補償を受けられるようにすることが国の責務だ」と訴えている。

(2011年5月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ