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福島事故にヒロシマの知識を 避難2家族 被爆者と交流

■記者 金崎由美

 福島からの避難住民の不安を和らげ、正確な情報を届けたい―。広島市西区の己斐原爆被害者の会(佐久間邦彦会長)が22日、福島第1原発事故で広島市内に避難している2家族を招き、区内の集会所で交流会を開いた。被爆者11人を含む20人超が集まり、広島大原爆放射線医科学研究所の鎌田七男元所長が同席した。

 参加したのは、福島市から実家に身を寄せている渡部美和さん(36)と生後4カ月の長男▽原発から4キロの福島県大熊町から古里に戻った笹口潤平さん(30)明子さん(24)夫妻と生後6カ月の長男―の2家族。

 一時帰宅できる可能性がある笹口さんは「車を持ち帰るが、チャイルドシートは使い続けられるでしょうか」と質問。鎌田氏は「子どもは放射能に敏感。シートは取り換えて」と答えた。近く山形県米沢市に引っ越す渡部さんは「米沢の線量は0.07マイクロシーベルトと聞いた。土の上で子どもを遊ばせていいか」と尋ね、鎌田氏は「心配いらない」と応じた。

 被爆者は、避難している家族に「内部被曝(ひばく)の不安は分かる」「大量被曝した私たちが生きている。前向きになって」と声を掛けた。

 実家に帰った渡部さんが、原発事故に関する講演会の情報を集める中で同会の佐久間会長と知り合い、交流会が実現した。渡部さんは、具体的な状況に応じた正確な情報を得られたことに感謝し「被爆者が生きてきた強さから学びたい。しっかりしなければと思った」と話していた。

(2011年5月23日朝刊掲載)

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