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国際平和拠点ひろしま構想 策定委座長に明石氏 元国連事務次長

■記者 村田拓也

 広島県は、核兵器廃絶に向けて県が果たすべき役割を定める「国際平和拠点ひろしま構想」づくりに着手する。策定委員会の座長には23日、元国連事務次長の明石康氏(80)の起用を内定した。近く委員9人で策定委を発足させる。湯崎英彦知事は11月、米ニューヨークの国連本部で構想を発信する意向だ。

 明石氏は1957年に日本人で初めて国連職員となり、事務次長やカンボジア事務総長特別代表を歴任した。1998年4月、広島市立大広島平和研究所の初代所長に就任し、翌1999年4月の東京都知事選に立候補し落選した。現在は国際文化会館(東京)理事長。

 ひろしま構想は、湯崎知事がマニフェスト(公約集)に掲げた。(1)平和研究成果の収集・共有(2)人材育成や非政府組織(NGO)の支援(3)平和へのメッセージを世界に発信する手法―を打ち出す。

 湯崎知事は昨年11月、広島市であったノーベル平和賞受賞者世界サミットのスピーチでも構想に言及。平和分野に造詣が深く国内外で影響力がある専門家を人選していた。

 委員には、元国連事務次長の阿部信泰氏▽東京大大学院教授で国際政治学が専門の藤原帰一氏▽元外相の川口順子氏▽オーストラリア元外相のギャレス・エバンズ氏▽湯崎知事―たちが就く。川口、エバンズ両氏は核不拡散・核軍縮に関する国際委員会(ICNND)で共同議長を務めた。

 米クリントン政権で国防長官を務めたウィリアム・ペリー氏も加わる。2007年、キッシンジャー、シュルツ両元国務長官たちと「核のない世界」の実現に向け提言を発表した。

 策定委は藤原教授が調整窓口となり、委員は主にメールで意見交換。さらに藤原教授を中心にした実務者レベルの作業部会も設けて議論を重ね、10月に広島市で開く会合に委員が集い、構想を決定する。

(2011年5月24日朝刊掲載)

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