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『フクシマとヒロシマ』 被曝医療研修受け入れ HICARE窓口

■記者 村田拓也

 福島第1原発事故の周辺住民たちの長期的な健康管理に向け、広島県が現地の医師たちの研修受け入れを検討していることが24日、分かった。県庁に事務局を置く放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE)が窓口になる。6月上旬、国に提案する。

 対象は、現地で健康管理に当たる医師や看護師、放射線技師たち医療従事者。被爆者医療や追跡調査のノウハウを持ち、HICAREの構成メンバーである広島大や放射線影響研究所(広島市南区)などが実際の研修を担う。

 原発事故を受け、福島県は住民約15万人に30年以上にわたる健康管理をする方針を固めており、政府も長期的な健康調査の必要性について言及している。

 広島県は国への提案で、住民のほか事故対策に当たっている作業員や自衛隊員の不安解消のための健康調査の必要性を指摘。「広島県内の関係機関で積極的に協力する用意がある」と表明する。研修実現に向け、HICAREに対する国の財政支援も求める。

 厚生労働省などへの提案後、湯崎英彦知事はさらに詳細な構想を首相官邸に示す。

放射線被曝者医療国際協力推進協議会(HICARE)
 チェルノブイリ原発事故を機に1991年4月に設立された。被爆者医療の蓄積を世界の核被害者支援に生かすことを目的に、海外からの研修医受け入れや専門家の派遣などを展開する。広島県や広島市、県医師会、市医師会、広島大原爆放射線医科学研究所、放射線影響研究所などの医療・研究機関で構成し、事務局は県庁に置く。2010年8月には国際原子力機関(IAEA)と被曝者医療分野で協力する覚書を交わした。会長は広島赤十字・原爆病院の土肥博雄院長。

(2011年5月25日朝刊掲載)

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