×

ニュース

核禁止文書への賛同要請 岸田外相に広島・長崎市長

 広島市の松井一実、長崎市の田上富久の両市長は23日、外務省に岸田文雄外相(広島1区)を訪ね、オーストリアが国連加盟国に配布した核兵器禁止を呼び掛ける文書に賛同するよう要請した。岸田氏は賛同するかどうか言及しなかった。

 日本政府は賛同しない方針を固めているが、対応を正式に表明していない。松井市長は「外相や安倍晋三首相の方針と相反しない」と強調。田上市長も「(核兵器を即刻禁止するなど)期限を区切っていない」と賛同を促した。

 オーストリアは来月27日に開幕する核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けて文書を配布。一方、日本政府は、主導する軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)として再検討会議の合意文書案を提案した。

 岸田氏は、NPDIの合意文書案について「再検討会議の合意形成の基本でなければならない」と強調。オーストリアの文書への対応には「合意形成の過程で考えていくことになる」と述べるにとどめた。

 米国は「核の傘」維持の観点から、オーストリアの文書への不賛同を働き掛けている。面会後、田上市長は「核の傘の下にあることが、被爆国がリーダーシップを取ることへの妨げになっていると思う。核兵器のない世界に向け、新しい一歩を踏み出してほしい」と訴えた。(藤村潤平)

(2015年3月24日朝刊掲載)

年別アーカイブ