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「原子力防災会議」が始動 島根・鳥取県と原発周辺8市町 避難計画など

■記者 樋口浩二

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)の半径30キロ圏内にある6市2町と島根、鳥取両県は24日、原子力防災担当者による初の連絡会議を開いた。福島第1原発事故を受け、島根原発での事故を想定した住民の広域避難計画を検討する。年内をめどに避難先や経路を盛り込んだ基本方針をまとめる。

 福島の事故では、半径20キロ圏内が避難指示、20~30キロ圏内が屋内退避指示区域となった。島根県はこれを受け、島根原発から30キロ圏内にある松江、出雲、安来、雲南市、東出雲、斐川町に加え、鳥取県と米子、境港市に連絡会議の設置を呼び掛けた。

 松江市の県原子力防災センターであった初会合には、各自治体から災害担当者計22人が参加した。島根県が、30キロ圏内の住民避難を前提とした基礎情報を把握するよう要請。人口や年齢構成、要援護者の人数を町内会など自治組織単位で洗い出し、集計することを申し合わせた。

 月内にも各自治体の実務担当者によるワーキンググループを設置。毎月会合を開き、住民を避難させる経路、交通手段、受け入れ施設などを抽出し、連絡会議で避難と情報伝達の基本方針を決める。各自治体は、今後改定する地域防災計画に反映させる。

 島根県の大国羊一危機管理監は「国による防災指針の見直しには時間がかかりそうだ。原発を抱える地域と自治体で、できることからやっていきたい」と述べた。

地域防災計画
 災害対策基本法に基づく政府の防災基本計画に沿って、地方自治体が策定する。防災対策に加え、災害時の情報伝達方法などを盛り込む。原発事故については、原子力安全委員会が策定する防災指針に沿って、各自治体が地域防災計画の原子力災害編を作成する。島根県の現行計画では、原発事故を想定した避難場所や経路は明記されていない。

(2011年5月25日朝刊掲載)

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