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地方の針路’15統一選 エネルギー政策浮上 島根原発抱える山陰の両知事選

 26日に幕を開けた島根、鳥取両県の知事選で、中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)稼働の是非を含めたエネルギー政策がテーマの一つになりそうだ。街頭に繰り出した4人の候補者は初日、エネルギー問題に言及。ただ、両県とも共産党系の新人が原発廃止を訴える一方、3選を目指す両現職は原発稼働の是非に触れず、議論はかみ合っていない。

 島根原発の2号機は2012年1月に定期検査のため稼働を停止。再稼働に向け原子力規制委員会による適合性審査が進んでいる。新設の3号機もほぼ完成。2、3号機とも、島根県知事による地元同意が稼働の条件となる。鳥取県知事も、周辺自治体として意見を述べる立場だ。

 「安全な原発などどこにもない。原発30キロ圏内に県民約39万人が暮らす。事故が起これば県の存亡が問われる」。島根県では、共産党新人の万代弘美氏(65)が出発式後、原発がある松江市鹿島町へ移動。「自然エネルギーを導入して、廃炉にすべきだ」と強調した。

 島根原発から10キロ圏の県庁前で第一声を上げた無所属現職の溝口善兵衛氏(69)=自民、公明推薦=は「木質バイオマス発電など再生可能なエネルギーを増やし、産業振興につなげる」との考えを示した。原発稼働の是非については一切触れなかった。

 鳥取県では、無所属新人の岩永尚之氏(58)=共産推薦=が鳥取市の事務所前の第一声で、全国で原発の再稼働を進める政府の方針に言及。「国政に順応する現在の県政では、県民の暮らしも命も守れない」と力を込めた。街頭でも再稼働反対の立場を鮮明にした。

 無所属現職の平井伸治氏(53)=自民、民主、公明推薦=は同市の街頭演説などで、原発周辺自治体として最初に中電と安全協定を結んだ実績を強調。日本海沖の次世代資源メタンハイドレートに触れ「人材育成や研究開発拠点をつくりたい」と訴えた。

 松江市美保関町、自営業福田公一さん(74)は「原発の稼働に不安もあるけれど電力はきちんと供給してもらわないといけない。より具体的な将来像を示してほしい」と注文していた。

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 統一地方選が始まった。地方では人口減や財政難が進み、将来のエネルギーの在り方や経済活性化の方向性は見えない。地方の政治は何をすべきか。明日への針路を問う。

(2015年3月27日朝刊掲載)

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