×

ニュース

甲田町 被爆者の会解散 安芸高田 高齢化 2世会できず

 安芸高田市甲田町の被爆者でつくる甲田町原爆被害者の会(境章造会長)が24日、解散した。役員の高齢化や会員数の減少から、組織の運営が困難となった。

 この日、同市甲田町の甲田人権会館であった非公開の臨時役員総会で決めた。出席者によると、役員24人が出席し、全員同意の上で解散を決議したという。

 同会は、後継として被爆2世の会の立ち上げを模索したが、まとまらなかった。昨年7月の役員総会で、解散の方針を固めていた。境会長(83)は「存続へ努力してきたが、限界が来た。先輩の方々には申し訳ない」と肩を落とした。

 同会は、1967年に発足した。80年代前半まで町内で、追悼式典を夏に開いていた。90年、恒久平和を願い、ブロンズ製の「平和の像」を町内の甲立小に立てた。その後、甲田人権会館の近くに整備された広場に移設した。8月6日には町内の園児が折り鶴をささげ、会員が被爆証言を続けてきた。発足時に約500人いた会員は、年々減り229人。平均年齢は80歳を超えた。

 安芸高田市では、6町による2004年の合併時に、各町に被爆者団体があった。05年、美土里町の団体が会員の高齢化などを理由に解散。広島県内では、福山市原爆被害者の会がことし3月末に解散したばかり。

 県被団協の坪井直理事長(89)は「団体が減るにつれ、被爆者の思いは届きにくくなる。運営が困難な団体の受け皿づくりを早く進めなければ」と話している。(野平慧一)

(2015年4月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ