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平和・非核 広島で学ぶ 犠牲のロポルトさん 市立大の講座参加 米軍対テロ作戦

 米国の対テロ軍事作戦で死亡したイタリア人の援助活動家ジョバンニ・ロポルトさんは、アルカイダに拉致される前の2009年夏、広島市立大(安佐南区)の夏期講座「ヒロシマと平和」に参加していた。「広島まで学びに来た熱心な若者が犠牲になり、がっくりきている」。講座を担当した井上泰浩教授たち関係者は肩を落とした。

 ロポルトさんは当時、英ロンドン・メトロポリタン大の学生で平和や紛争問題を専攻。市立大に提出した講座の志望書に「核廃絶や通常兵器の削減を求める」と意見をつづり、被爆者の証言に耳を傾けた。

 広島に約2週間滞在し、ホームステイも経験。受け入れた西区の主婦神川邦子さん(61)は「陽気でやさしい人柄。他国の受講生たちと夜遅くまで熱心に議論を交わしていた姿が忘れられない」と言葉を失った。

 その後、人道支援の専門家になる夢をかなえ、ドイツに本部がある国際援助団体のスタッフに。洪水被害の支援のため滞在したパキスタンで12年、拉致に遭ったとみられる。井上教授たちはインターネットで、救出に力を尽くすよう要請するメールをイタリア政府に送る運動を呼び掛けた。

 「ドローン」は首相官邸屋上でも22日に見つかったばかり。井上教授は「米国の大学ではここ数年、ドローンを使った攻撃に対する抗議デモをよく見かける。日本でも、民間人を巻き添えにしたドローンの危険性について、もっと関心が高まってほしい」と願った。(馬場洋太)

(2015年4月25日朝刊掲載)

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