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広島復興の味 スペインに 日本食レストラン経営ガビランさん お好み焼き 人気店で修業

 スペイン・バルセロナで日本食の鉄板焼きレストラン「リオ」を経営するラファエル・ガビランさん(33)が広島市を訪れ、お好み焼きの腕を磨こうと人気店で「修業」している。原爆被害からの復興を象徴する味だと知り、「スペイン人にヒロシマを知ってもらいたい」とメニューに加え好評という。(金崎由美)

 4年前と昨年に続き、広島滞在は3回目。5月2日まで、中米グアテマラ出身のフェルナンド・ロペズさん(51)が西区で開く「ロペズ」と中区の「がんちゃん」に通う。広島スペイン協会の井上博夫副会長(73)が日程調整などで協力。ガビランさんはお礼代わりにゆいぽーと(中区)で開いている同協会のスペイン語教室にも参加している。

 「ロペズ」では、前掛けとバンダナを締めて鉄板の前に立った。「キャベツはもっと丁寧に入れ込んで」などとスペイン語で指導を受けた。日本語で「はい」とはきはき答えながら「そば肉玉」を焼き上げた。「昨年より上手になっているよ」。こてさばきを褒められた。  映画「東京物語」や漫画「AKIRA」に親しみ、日本人の友人も多いガビランさん。日本食レストランで働いていた4年前、広島市を初めて訪れた。ソースが香ばしいお好み焼きを食べ歩き、原爆資料館(中区)に何度も足を運んだ。

 「被害にショックを受けた。同時に、復興を支えた味がお好み焼きだったと知り感銘を受けた」。1年後、そのレストランの経営を安佐南区出身の友人、広田冨士子さんと共同で引き継いだ。「すしや天ぷらなどの典型的なイメージとは違う、多様な日本の食文化を知らせたい」と鉄板焼きを取り入れた。

 日本の鉄板との温度の違いや、生麺が手に入りにくくイタリアの卵パスタで代用するなどの苦労もある。だが本場の味を守りながら「ソースも少しアレンジしている」「トッピングも増やしたい」。お好み焼きを語りだしたら止まらない。

 「スペイン人が旅行するなら、ほとんどが東京や京都。大阪から日帰りで宮島だけ、という人も多い。だから『広島に泊まり原爆ドームを訪れて』といつも言っている」。鉄板越しにヒロシマも伝えている。

(2015年4月27日朝刊掲載)

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