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NYに響く平和の願い NPT会議開幕 被爆者ら7500人行進 広島市長が署名提出

 ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ―。原爆を唯一使った核超大国、米国のニューヨークに26日、広島の被爆者たちの訴えが響いた。非政府組織(NGO)が主催したデモ行進に、平和活動家たちを含め約7500人が参加。4週間に及ぶ国連本部での核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、悲願の核兵器廃絶を手繰り寄せるよう迫った。広島市の松井一実市長も加わった。 (ニューヨーク発 田中美千子)

 市中心部の公園であった出発式で、日本被団協の中村雄子事務局次長(83)は広島県立広島第一高等女学校(現皆実高)2年の時に学徒動員先の現広島市西区で被爆した体験を証言。爆心地に近い別の動員先にいた下級生の大半が犠牲になったとし、「『お国のため』と死を覚悟していた彼女たちも本当は生きたかった。原爆は無残に命を奪うと知ってほしい」と強調した。

 参加者はその後、横断幕を掲げ、マンハッタンを3キロ余り練り歩いた。参加した現地の大学生エレナ・マーモウさん(21)は「被爆者の話を聞き、原爆の非人道性を思い知らされた。私たち若者も関心を持たないといけない」と力を込めた。

 国連本部近くの広場では到着集会を開催。平和首長会議会長の松井市長は、核兵器禁止条約の交渉開始を求める109万7059人分の署名目録を再検討会議議長のタウス・フェルキ氏たちに手渡し、「条約締結は核兵器廃絶に最も効果的な方法だ」とアピールした。国連のアンゲラ・ケイン軍縮担当上級代表は平均年齢が80歳となる被爆者を気遣い「核兵器なき世界の実現へ、トーチを引き継がないといけない」と応じた。

(2015年4月28日朝刊掲載)

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