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被爆者73人の思い届く 平和宣言文言 広島市が公募

■記者 野田華奈子

 広島市は21日、平和宣言に引用するため、被爆者から募った体験談や平和への思いが73人から寄せられたと発表した。松井一実市長が平和宣言を起草する際に盛り込み、8月6日の平和記念式典で市長が読み上げる。

 内訳は市内在住者が35人、市外が38人。市外は大阪、東京、神奈川、兵庫など10都府県の30人と、国外は韓国、米国、ブラジルの3カ国8人だった。

 年代別では90代が2人、80代が36人、70代27人、60代6人。2人は年齢が確認できていない。悲惨な体験や心の苦しみ、平和への願いなどが郵送やメールなどで届けられた。福島第1原発事故を受け原発に懐疑的な内容も複数あったという。

 市は7月、市長や被爆者、原爆資料館長たち10人程度でつくる選定委員会を設置し、採用する文章を選ぶ。その結果を踏まえ、松井市長が平和宣言文を起草する。

 松井市長は5月下旬、自身初めての平和宣言の策定に向けて「被爆体験や思いを次世代が共有し、世界に広げることが重要」と判断し、宣言に引用する被爆者の文章を公募する方針を決定。市が6月1日から20日まで広島での被爆を条件に募っていた。

 平和推進課の柴田吉男課長は「短期間に多くの体験談を寄せてもらいありがたい。平和宣言以外にも被爆体験の資料として大切に活用したい」としている。


平和宣言に「脱原発」を 被爆者ら市に要請


■記者 金崎由美

 広島市の松井一実市長が平和記念式典で読む平和宣言に関し、広島市の被爆者たちが21日、「脱原発」のメッセージを盛り込むよう求めた市長宛ての要請文を市に提出した。

 韓国の原爆被害者を救援する市民の会の豊永恵三郎広島支部長(75)たち被爆者3人と被爆2世12人の連名。福島第1原発事故を受け、原子力技術の過信への反省と全ての核の廃絶を世界に発信▽脱原子力の姿勢を示す―の2点を求めている。

 豊永さんは「核と人類は共存できないことを被爆地から発信してほしい」と訴えている。

(2011年6月22日朝刊掲載)

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