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大江さん核めぐり対話 ETV特集 福竜丸・大石さんと

■平和メディアセンター編集部長 西本雅実

 核時代の意味を問い続けてきたノーベル文学賞作家の大江健三郎さん(76)と、米軍の水爆実験で被曝(ひばく)した第五福竜丸乗組員だった大石又七さん(77)が、広島・長崎やビキニ、福島第1原発事故による核被害をめぐって対話した。NHKEテレ7月3日午後10時からの「ETV特集」で放送される。

 二人が会ったのは初めて。対話は、東京都江東区にある第五福竜丸展示館で行われ、米軍が1954年3月1日に中部太平洋ビキニ環礁で行った水爆実験で「死の灰」を大量に浴びた様子を、大江さんが尋ねて始まった。

 大石さんは、被曝の半年後に亡くなった無線長をはじめ、乗組員23人のうち今日までに14人が死去したことを説明。「日米政府の政治決着が放射能の怖さを隠してしまい、今回の原発事故が起きた。政治家や専門家は現実というものを教えるべきです」と、自らも肝臓がんを患った体験を踏まえて語った。

 大江さんは、「ヒロシマ・ノート」に著した原爆症と闘う医師との会話を紹介しながら、「事故の責任をあいまいにせず調査し、自分は人間を殺していいのかと考えるのが人間の根本的な倫理だ」と呼び掛けた。

 二人の対話内容は、4日付の本紙朝刊でも詳しく報じる。

(2011年6月26日朝刊掲載)

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