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つなぐ~戦後70年 被爆者の思い 新聞に 岩国の被害者の会 中村さん 「子の未来のため」 活動発信

 岩国市原爆被害者の会(藤本伸雄会長、249人)の新聞「いわくに原爆・通信」の編集を、同会役員で会社員中村美奈恵さん(53)=岩国市平田=が手掛けている。家族に被爆者はいないが、「子どもたちのために、平和の大切さを伝える手伝いができれば」と発信を続ける。(増田咲子)

 3人の子どもがいる中村さん。約10年前、市内の古書店で被爆証言集を手にし、原爆に関心を持った。証言集を何冊か読み、悲惨な体験に夜中にうなされるほどショックを受けたという。その後、同会副会長で、長崎県で被爆者を看護した大下美津さん(91)=同=から「若い人にも会に関わってほしい」と勧められ、2011年に入会した。

 会の活動を伝えようと、新聞作りを始めた。年数回のペースで続け、これまでに11号を数えた。会員による学校での被爆証言や総会の様子などを取材。写真入りの記事にして、「未来の平和願う」「今も癒えぬ心と体」などの見出しで伝えた。

 A3、A4判の新聞は、会員だけでなく、証言活動をした学校や保護者、原爆展の会場でも配った。藤本会長(74)は「活動の記録を残せるし、継承にもなっている」と話す。

 「被爆者でも、被爆2世でもない私が書いてもいいのかという思いもあった。被爆者の方の協力があってこその新聞」と中村さん。「子どもたちの未来を思う気持ちを少しでも伝えたい」と話している。

(2015年6月26日朝刊掲載)

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