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広島平和文化センター・小溝理事長に聞く 被爆地に根差す声明採択を 広島で外相会合

 来年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立ち、広島市で外相会合が開かれる意義を、元外交官で広島平和文化センターの小溝泰義理事長に聞いた。(田中美千子)

 近年の例を踏まえると、来年の外相会合では中東、アジアなどの地域情勢や安全保障問題が取り上げられるだろう。その中で、核に関する問題が議論される可能性も十分にある。

 今、世界はウクライナや中東問題を抱え、緊張が高まりがちな情勢にある。ロシア、中国を含む日本の近隣も不安定だ。核兵器保有国は「だから核は削減できない」と言う。しかし核軍縮の歴史を振り返ると、各国の指導者は危機が高まった時こそ、立場の違いを乗り越え、リーダーシップを発揮している。来年の会合は、難題解決へ前進する好機となり得る。

 広島では、耐えられないような体験をした人たちがその悲劇を乗り越え、「こんな思いを誰にもさせたくない」と真剣な訴えを続けてきた。外相たちは会議の前に彼らの声を聴き、原爆資料館を見学してほしい。被爆者の思いを受け止め、とりわけ核軍縮に向けた勇気ある決断をしてほしいし、広島はそれができる地だと思う。

 会合では、声明も採択するだろう。被爆地で開く以上、核軍縮に関する何らかのメッセージをぜひ入れてほしい。ホスト国となる日本のリーダーシップに期待したい。私たちも核兵器廃絶に向けた運動を推し進める当事者として、指導者が大胆な一歩を踏み出しやすいよう声を上げていく。(談)

(2015年6月27日朝刊掲載)

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