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被爆ろう者と家族の絆描く 広島など来月公演 戦後70年で創作手話劇

 耳が聞こえないろう者の被爆体験と家族の絆を描いた創作劇「残夏(ざんげ)―1945―」の公演が7月、広島市などである。手話劇などに取り組む俳優大橋ひろえさん(44)=東京=たちが戦後70年に合わせて企画し、自ら出演する。「原爆のことを若い人たちに知ってほしい」と稽古に励んでいる。

 自身も耳が聞こえない大橋さんが2年前、被爆ろう者の証言集を読み、創作劇を発案した。戦後70年の特集記事を任された広島の雑誌記者の女性が、長崎の被爆ろう者の母と再会し、ろうの祖父母が被爆した様子を聞くうちに母娘の絆を取り戻す物語。生き残った祖母が逆境の中で懸命に生きる姿も描く。

 大橋さんが代表を務め、舞台をプロデュースする団体「サインアートプロジェクト.アジアン」(東京)が劇を企画。脚本は三原市出身の劇作家米内山(よないやま)陽子さん(36)=東京=に依頼した。米内山さんは「被爆ろう者の存在を深く知らなかった。あらゆる人が巻き込まれた原爆の悲惨さを伝えたい」と話す。

 7月9~12日に東京、18日に広島市、25日に長崎市で上演する。ろう者を含む9人がせりふに手話を交えて演じ、背景には字幕を映す。大橋さんは「原爆で亡くなった方に思いをはせて演じたい」と意気込む。

 広島公演は広島市東区民文化センターで午後1時と同6時からの計2回。一般2999円、小中学生2千円。市ろうあ協会に申し込む。ファクス082(262)2579、メールアドレスhcd22‐7.6jsl@hi.enjoy.ne.jp(山本和明)

(2015年6月30日朝刊掲載)

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