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安保法案 言及せず 平和宣言 広島市長が方針

 広島市の松井一実市長は1日、8月6日の平和記念式典で読み上げる平和宣言で、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案には直接言及しない考えを示した。被爆70年の節目の宣言として「世界に向けてどういうメッセージを発信するかという中で、国内の話を取り上げる話にはならない」と説明している。市がこの日、開いた被爆者や有識者でつくる平和宣言に関する懇談会の非公開会合に絡み、明らかにした。

 座長の松井市長は終了後、安保関連法成立を目指す政権に関し、委員から「日本の為政者の多くが戦争を知らない中で、こうした動きが起きている。被爆の実相を知ってもらうべきだ」との意見が出たと記者団に紹介。「今日の雰囲気では(安保関連法案を)盛り込む感じではない。そうしたさまざまな状況を乗り越え、核兵器廃絶の世界的な動きを先導する宣言にしたい」と述べた。

 昨年も、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更が7月1日に閣議決定されたが、松井市長は平和宣言で直接触れなかった。

 会合では、市側が「被爆の実相」「核兵器をめぐる世界情勢」「行動理念の展開」など大きく7項目で構成する宣言の骨子案を提示。委員から「被爆の実相を伝える部分を厚めに書くべきだ」「核戦争が70年なかった点への被爆者の貢献を紹介しては」などの助言があったという。松井市長は、骨子案に沿った文案と、意見を反映した文案を21日の最終会合までに提示し、議論を経て、今月末までに自ら宣言文を起草する。(和多正憲)

(2015年7月2日朝刊掲載)

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