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「広島 平和追求の義務」 国際シンポ 内外の専門家ら議論

 恒久的な平和への取り組みと市民社会の可能性について考える国際シンポジウムが28日、広島市中区の広島国際会議場であった。約100人が参加し、核廃絶に向けた歩みと平和への展望について議論した。

 被爆70年を機に広島大平和科学研究センター(中区)が企画。タイのスラキアット・サティアンタイ元副首相や欧州安保協力機構(OSCE)ウクライナ特別監視団のエルトゥール・アパカン代表たちが出席した。

 スラキアット元副首相は基調講演で、世界平和への広島の役割について「70年前に失った命の記憶を掲げ、平和を追求する義務がある」と強調。「市民社会こそが変革を起こす力を持っている」と語った。

 討論では、アパカン代表が紛争の続いたウクライナでの経験から「紛争は突然起きるが、背景には歴史的、地理的な問題がある。予防外交や早期警戒が必要だ」と述べた。

 日本の元外交官や外務省軍縮不拡散・科学部審議官、大学教授たち7人も登壇。「核廃絶への特効薬はないかもしれないが、粘り強い市民社会と国家の協働、国際関係の信頼醸成が不可欠」などの意見が出た。(鈴中直美)

(2015年7月29日朝刊掲載)

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