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因島空襲70年 鎮魂の祈り 記憶の継承誓う 遺族ら追悼の集い 尾道

 70年前、2度の空襲を受けた尾道市因島で28日、市民主催の「因島・三庄空襲70周年犠牲者追悼の集い」があった。参列者は、1945年3月19日と7月28日の空襲で犠牲になった人たちに思いをはせ、島で起きた悲劇の継承を誓った。(新山京子)

 集いは、爆弾が落とされた同市因島三庄町の駐車場で開かれ、遺族4人を含む空襲体験者たち約40人が参列した。主催者で、空襲について長年調査を続ける著述業の青木忠さん(70)=同市因島椋浦町=が「無残に奪われた多くの住民の命を永遠に忘れません」と涙ぐみながらあいさつ。黙とうし、約100人以上とされる犠牲者を悼んだ。

 祭壇には、沖縄県から因島に疎開し、空襲で犠牲となった母子6人のために、沖縄の菓子が供えられた。来賓の高本訓司市議会議長は「若者に島で起きた惨状を継承しなければならない」と呼び掛けた。

 集いの後、参列者は近くの介護老人福祉施設しまなみ苑に移動。戦闘機が上空を通過し空襲警報の発表が繰り返された当時の状況や、現在も家屋に爆風の傷痕が残っていることなどを語り合った。

 軍需工場で働いていた父親を亡くした小丸由紀子さん(75)=同市因島田熊町=は「空襲を知る人はほとんどいなくなった。子どもたちにこれまでの苦しみや命の尊さを伝えていきたい」と話した。

(2015年7月29日朝刊掲載)

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