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武力に頼らぬ安保の実現を 8・6平和宣言概要

 被爆70年の8月6日に、広島市の松井一実市長が平和記念式典で読み上げる平和宣言の概要が29日、分かった。武力に頼らない幅広い安全保障体制を「人類共通の理想」とし、その構築実現へ忍耐強く取り組むよう各国のリーダーに求める。

 宣言は、為政者が顔を合わせて対話を重ねるのが核兵器廃絶への第一歩と指摘。原爆被害の実態を伝える部分では、古里や家族を奪われ、心身を痛めつけられた被爆者の叫びを「広島をまどうてくれ(元通りに戻してくれ)」の一語で強調する。核兵器廃絶へ行動し、広島の復興に尽くした被爆者たちへの感謝も伝えるとみられる。

 被爆者や有識者たちの平和宣言に関する懇談会に21日に示された素案では、オバマ米大統領をはじめとした各国のリーダーに被爆地訪問を呼び掛け、核兵器禁止条約を含む法的枠組みの議論開始を迫ることが判明している。一方、すでに松井市長が表明した通り、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案には直接言及しない。松井市長は31日に平和宣言の骨子を発表する。(和多正憲)

(2015年7月30日朝刊掲載)

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