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海外メディア 広島注目 資料館館長取材 既に10件

 被爆70年のことし、海外メディアがヒロシマの取材に相次ぎ訪れている。原爆資料館(広島市中区)の館長への取材は昨年はゼロだったが、既に核兵器保有国の米国やロシアなど8カ国のテレビ局、新聞社などから計10件あった。個別に被爆者や家族に申し込んでいるケースも。あの日の惨禍から、70年の被爆者の歩みまで視点も多様だ。

 資料館が把握する志賀賢治館長への取材件数は5月3件、6月2件、7月5件。国別では米国が計3件と最も多い。8月も原爆の日に前後して、5カ国のテレビ局などから5件の申し込みがある。被爆65年の2010年は1件。この間0~3件で推移していただけに、ことしは突出している。

 16日には、米ニューヨークに本社があるCBSテレビの特派員たち4人の取材班が同館を訪れた。志賀館長の案内で、初代館長の故長岡省吾さんが収集した被爆瓦など通常は非公開の資料を取材。被爆者2人の証言も収めた。「米国では、まだ広島イコール被爆地のイメージしかない」として、3日間の滞在中、現在の広島の街の風景も重点的に撮影した。

 セス・ドーン特派員(37)は「原爆について米国人は知るべきだ。70年に深く考える機会をつくりたい」。3分の映像を2本編集し、8月上旬のニュース番組で放映するという。

 資料館が把握する以外にも24日には、ノルウェーの新聞社が中区の被爆者女性と2世の息子、3世の孫を取材。市の被爆体験伝承者や、被爆10年後の12歳の時に白血病で亡くなった佐々木禎子さんの映画をつくっている映画監督など、継承の試みを追った。

 「例年の3倍ぐらい海外メディアの取材を受けている」と言うのは広島県被団協の坪井直理事長(90)。米国や中国、スウェーデンなどの記者たちにあの日を証言。この70年の歩みや被爆者団体の展望に加え、海外では認知度の低い原爆症についての質問も受けたという。坪井理事長は「世界の人に核兵器の非人道性を訴えるいい機会になる。もっと来てほしい」と歓迎している。(高本友子)

(2015年7月30日朝刊掲載)

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