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14歳の姉、被爆死前の日記 遺族が原爆資料館に寄贈 色鉛筆の絵を添えて。戦時下の生活つづる 広島

 1945年8月6日の原爆投下で死去した女子学徒の日記を、妹の森谷栄子さん(78)=広島市佐伯区五日市=が30日、原爆資料館(中区)に寄贈した。「戦時下をけなげに生きた姉の日記を、若い人たちが戦争と平和を考えることに役立ててほしい」と託した。

 広島女子高師付属山中高女(現広島大付属福山中高)1年生だった三上睦子さん=当時(14)=が、45年6月18日から7月18日までを1日ずつ色鉛筆の絵を添えて記している。

 食糧増産のため動員された開墾作業への意気込みや、母の誕生日を祝った暮らしぶりをつづる。「日記を書いてゐる時いつでも警報が出る。しらずしらずの内に字もあらっぽくなって行く」が絶筆となった。

 三上さんは、爆心地から約1・2キロとなった現中区国泰寺町での建物疎開作業に動員され被爆。翌8月7日夜、家族が連れ帰った現大竹市の自宅で亡くなった。日記は、母滋子さんが2002年に95歳で亡くなるまで保管し、四女の栄子さんが受け継いだ。

 栄子さんは資料館への寄贈を決めて、日記を高校生の孫に初めて読ませたという。「当時の姉と年が近い若者に見てもらいたい」と願う。佐藤規代美学芸員から「かわいい絵からもお人柄がしのばれます。大切に保管します」と説明を受け、表情を和ませた。(「伝えるヒロシマ」取材班)

(2015年7月31日朝刊掲載)

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