×

ニュース

終戦の日

 終戦の日の15日、広島市内では、鐘を鳴らしたり原爆詩を朗読したりして平和な世界の実現を願う集いや、戦没者を追悼する集会があった。


ドーム前で原爆・反戦詩 市民40人が朗読会

 「8・15原爆詩・反戦詩を読む市民の集い」が、広島市中区の原爆ドーム東側であった。広島文学資料保全の会と広島花幻忌の会が主催し、広島ゆかりの詩人の作品や自作の詩を朗読した。米中枢同時テロ翌年の2002年から毎年開催し、10回目。

 約40人が参加した。原民喜が被爆の惨状を表現した「コレガ人間ナノデス」を、おいの原時彦さん(76)=西区=が朗読。戸坂城山小4年中原奏(かなで)さん(10)は妹の同小1年調(しらべ)さん(6)と参加し「人を殺すのも、人を悲しませるのも人間。人間は全部を止められる」と自作の詩を読み上げた。

 今年は「にんげんをかえせ」で知られる峠三吉の「原爆詩集」発刊60周年と福島原発事故をテーマに据えた。峠三吉が占領下の広島を詠んだ「一九五〇年の八月六日」や、古里の宮城県石巻市が東日本大震災の津波で被災した作家辺見庸氏の作品の朗読もあった。(金崎由美)


平和の鐘に祈り込める 中区で集い

 広島市中区の平和記念公園では、「平和の鐘」をつき、戦争や災害のない世界の実現を祈る集いがあり、約120人が参加した。

 集いは広島ユネスコ協会(北川建次会長)が毎年開いている。ゲストのあいさつでは、タイの自治体から市役所に来て研修中のウィリヤ・リンピティープラカンさん(35)が「広島で見たことをタイに伝え、核戦争に反対する」と強調。ワールド・フレンドシップ・センター(西区)館長のシムズ夫妻は「紛争のない世界をつくるため、国内外の活動に参加したい」と述べた。

 広島大付属高2年の道前綾香さん(16)と藤田優さん(17)が「戦争を経験していない自分たちが、過去と向き合うことが大切」とメッセージを朗読した。続いて、順番に鐘を鳴らし、全員で黙とうして平和な世界の実現を願った。


護国神社で戦没者追悼

 広島市中区の広島護国神社では、神社主催の「英霊感謝祭」と日本会議広島主催の「戦没者平和祈念の集い」があった。遺族など約200人が参列した。

 感謝祭では、玉ぐし奉納などの神事で戦没者を追悼した。ニューギニアで次兄が戦死した中区の梅野陽造さん(76)は「孫たちに言い聞かせているが、あの時代の苦しさを理解している人が少なくなり残念だ。元気な限りお参りを続けたい」と目を潤ませていた。

 続いてあった集いでは、硫黄島やガダルカナル島などの戦跡をめぐったジャーナリストの笹幸恵さんが講演。東京・日本武道館での全国戦没者追悼式に合わせ、全員で黙とうした。

(2011年8月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ