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被爆の路面電車 運行再開ドラマ 10日 NHK広島制作

 原爆投下3日後に広島市内を走った路面電車。運行再開に奔走した人々を描くテレビドラマ「一番電車が走った」をNHK広島放送局が制作し、10日午後7時半から全国放送する。阿部寛と黒島結菜が主演し、実在の人物を演じる。

 戦地に行った男性に代わり、女学生が車掌や運転をした終戦間近の広島電鉄。阿部は45歳の電気課長松浦明孝さん、黒島は運転手だった16歳の雨田豊子さんを演じる。原爆で仲間が死傷する中、復旧に尽力した社員と運転席に立った女学生。社員の葛藤や衝突、女学生の初恋も交えながら、人々の希望となり、復興を後押しした出来事を描く。

 本人や遺族に会って役作りした。阿部は「一瞬で何もなくなり後へ後へという中、前に前にと電車を走らせ、がむしゃらに生きた」と亡き松浦さんを思う。

 沖縄出身で曽祖父が地上戦を体験した黒島にとって戦争を扱う作品への出演は念願だった。豊子さんに面会し「原爆被害を本当にあった事実と感じられた。つらい時代でも、今の女の子と変わらない気持ちで過ごしていたことが印象に残った」とみずみずしく演じる。中村蒼や新井浩文らも出演する。(余村泰樹)

(2015年8月8日朝刊掲載)

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