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爆心地CG映画 英語に 田辺さんら作「ヒロシマからの伝言」

 被爆前の広島の爆心地周辺をコンピューターグラフィックス(CG)で再現した記録映画の英語版の制作が進められている。広島にゆかりの日系米国人俳優がナレーションを務め、25日朝(現地時間24日夕)に米カリフォルニア州ハリウッドで収録した。年内に完成させ、米国内でのテレビ放映などを目指す。

 約1時間の「『ヒロシマからの伝言』~原爆で失ったもの~」は映像作家の田辺雅章さん(73)=西区=たちが昨年9月完成させた。

 広島県産業奨励館(現原爆ドーム)などのCG場面で協力したカリフォルニア州立大のマーク・ファークアー教授が英語版制作を提案。映画「スタートレック」に出演した日系3世のジョージ・タケイさん(74)にナレーションを依頼した。

 タケイさんは祖父母が広島市からの移民。原爆で叔母たちが被爆死した。自身は戦時中、日系人収容所で過ごした経験を持つ。

 収録は現地時間の24日夕、約3時間かけ行われた。タケイさんが戦前の中島本町の繁栄ぶりや被爆直後の惨状を情感込めて読み上げた。田辺さんは25日早朝、中区の事務所のパソコンでインターネット中継された収録の様子を見守った。

 タケイさんは終了後「広島とのつながりを実感しており、人間が造った恐ろしい兵器を告発するのが私の役目だ」とモニター越しに力を込めた。田辺さんは「過酷な戦争体験を持つ者として心が通じる」と語った。(金崎由美)

(2011年8月26日朝刊掲載)

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