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核廃絶へ 被爆地訪問を 広島 ペリー元米長官が講演

 「核兵器のない世界」の提唱者の一人で、米国の元国防長官ウィリアム・ペリー氏(87)が23日、広島市南区で講演した。近年の核軍縮の停滞や米ロ関係の悪化を指摘し、強い危機感を表明。「核兵器がいかに悲惨か、理解されていないのが根本的な問題だ」として、世界中の市民が被爆地を訪問する重要性を訴えた。

 冷戦期も国防次官などを務め、米国の核政策に携わった。米国と旧ソ連の緊張がかつてなく高まった当時を振り返り、「毎日、これが人生最後の日になると思っていた。偶発的に核戦争が起きていてもおかしくはなかった」と述べた。

 現在、ウクライナ情勢をめぐり、再び関係が悪化している米ロ関係にも言及。「核兵器が再び使われないと信じるのは誤りだ。政府と市民が一体となって、新たな創造的な方法で、脅威を取り払わないといけない」と強調した。自らが取り組む青少年向けの軍縮教育プログラムについても紹介した。

 ペリー氏は24、25日、包括的核実験禁止条約(CTBT)機構準備委員会が同区で開く「賢人グループ」の会合にも出席する。この日は講演に続いて、同準備委のラッシーナ・ゼルボ事務局長や広島県の湯崎英彦知事たちとパネル討議。中国新聞ジュニアライターをはじめ県内の高校生の質問にも応じた。

 一連の催しは県が企画し、市民たち約100人が参加した。(田中美千子)

(2015年8月24日朝刊掲載)

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