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つなぐ~戦後70年 所蔵品整理「被爆伝える」 ゆだ苑、目録作成へ HPと展示エリア充実も 山口

 県原爆被爆者支援センターゆだ苑(山口市元町)は、被爆の実態や被爆者支援の歴史を伝える所蔵品の整理を進めている。設立50年となる2018年5月に向け、所蔵品を活用しやすいよう目録を整備するとともに、ホームページ(HP)の内容充実や展示エリアの拡充に生かす。

 4月から倉庫と展示室、書庫の所蔵品などを確認する作業に着手。一覧にまとめる作業は7月に終わった。総数は約3400点。内訳は、本1175点▽被爆軍人などのカルテのコピー1042人分▽米軍が撮影した被爆直後の写真183点-などだった。

 きっかけは、昨年40回を迎えた山口原爆死没者追悼・平和式典の歩みをまとめる冊子作りだった。職員の交代で活動の歴史に精通する者がいなくなり、資料を探したところ、未整理の倉庫から活動記録の写真アルバム386冊が見つかった。

 10年にゆだ苑職員となり、翌年から事務局長を務める坂本由香里さん(47)は「日常業務に追われ整理できていなかった。所蔵品の全体像も不明だった」と話す。昨年から整理のため、パート従業員1人を雇用した。

 所蔵品を活用しやすくする取り組みも進める。被爆者が描いた絵96点は本年度中に画像データ化。HPでも紹介する。証言のカセットやビデオもデータ化してDVDなどへの記録を検討する。坂本事務局長は「3年かけて展示スペースも広げ、被爆の実態や被爆者運動の歴史を分かりやすく伝える内容にしたい」と話している。

 ゆだ苑は1968年、現在の場所に宿泊ができる県原爆被爆者福祉会館として開館。95年に経営難から土地と建物を売却し、翌年から新たに建った自治労会館に入居している。(柳岡美緒)

(2015年8月25日朝刊掲載)

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