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被爆建物保存に4000万円 16年度概算要求

 厚生労働省が26日発表した2016年度予算案の概算要求で、被爆者対策費は15年度当初より49億円減の1356億円を計上した。被爆者の減少が主な理由。老朽化が進む被爆建物の保存支援として初めて4千万円を盛り込んだ。

 被爆建物の保存支援は、原爆死没者慰霊事業の一環で、原爆の惨禍を後世に伝えるのが目的。広島、長崎の両市が登録している被爆建物を対象に、1件当たり2千万円を上限に費用の3分の2を補助する。被爆状況などを紹介する説明板や展示スペースの設置が条件になる。

 広島原爆の「黒い雨」体験者に対する相談事業は、6200万円。外出が困難なお年寄りを戸別訪問したり、相談会場までのタクシー代などを助成したりするため、新たに800万円を確保した。被爆2世健診では、血液がんの一種「多発性骨髄腫」の検査を追加。自治体への委託費は3800万円増の2億1600万円となる。

 これらの被爆者援護施策の拡充について、安倍晋三首相が6日に広島市であった「被爆者代表から要望を聞く会」で、原爆症認定審査の迅速化とともに実施を表明していた。

 一方、原爆症に認定された被爆者が受給する医療特別手当(月約13万8千円)は、15億円減の242億円。3900人分の認定を新たに見込む。被爆者の84%が受給する健康管理手当(月約3万4千円)は、24億円減の574億円。(藤村潤平)

(2015年8月27日朝刊掲載)

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