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核廃絶 停滞打破探る 国連軍縮会議 広島で開幕 被爆者「諦めぬ」

 核軍縮や核不拡散の具体策を討議する国連軍縮会議が26日、広島市南区のホテルで始まった。23カ国と5国際機関から外交官や軍縮の専門家たち計83人が出席。5月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の決裂で「核兵器なき世界」への歩みが停滞している現状の打破へ、核兵器の非人道性や市民運動に焦点を当てて3日間にわたり道筋を探る。広島開催は19年ぶり4回目。

 開会行事で、国連軍縮部ジュネーブ事務所のトーマス・マークラム所長は「核軍縮の前進につながる新たな決意と斬新なアイデアを示す場にしたい」とあいさつ。広島、外務省、核兵器保有国の6人が「核兵器のない世界の実現に向けて」と題して意見を交わした。

 広島県被団協の坪井直理事長は「放射線による被爆者の苦しみは死ぬまで続く。最後の一呼吸まで廃絶を諦めない」と強調。広島市の松井一実市長は「非人道性への認識の高まりを禁止条約のような法的枠組みにどう具体化するか議論すべきだ」、広島県の湯崎英彦知事は「核による安全保障は正当化できないと倫理、道徳の点からさらに訴えたい」とそれぞれ主張した。

 一方、米国のウィリアム・ペリー元国防長官は包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准が進まない現状を核軍縮の「下り坂」と指摘し、「核の恐怖を知らない人をぜひ広島に招こう」と提案。英国のデス・ブラウン元国防相も「廃絶には核兵器を使ったら何が起きるかを知っている為政者のリーダーシップが必要だ」と述べた。

 会場からも来年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせ、オバマ米大統領たち保有国の首脳に広島訪問を呼び掛ける提案が相次いだ。ペリー、ブラウン両氏も賛成、協力する考えを示した。午後には、中区の平和記念公園で原爆慰霊碑に献花をした。

 会議は、国連アジア太平洋平和軍縮センター主催。1989年からほぼ毎年国内であり25回目。広島市では92、94、96年に開かれている。(水川恭輔)

(2015年8月27日朝刊掲載)

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