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米海兵隊 オスプレイの環境審査 岩国・中国地方も対象

訓練目的か

 米海兵隊が、最新鋭の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの環境審査を、米海兵隊岩国基地(岩国市)や中国地方の飛行ルートなどを対象に始めたことが分かった。同機種は来年にも普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備予定で、環境審査は関連した動き。岩国基地にも飛来し、周辺空域や低空飛行ルートで訓練するための措置とみられる。

 米海兵隊統合報道部(沖縄県)が、中国新聞の取材に対して14日までに認めた。

 同報道部によると、環境審査は、普天間で来年6月以降、CH46E中型輸送ヘリに代わって24機配備されるMV22型機の環境への影響を調べるのが目的。対象は普天間や移転候補地の名護市辺野古周辺、嘉手納基地に加えて、本土では岩国基地が含まれる。

 審査内容は飛行場・空域、大気、騒音などさまざま。文献調査やパイロットへの聞き取り、動植物の実地調査もある。来年3月には終え、内容は日本政府にも提供可能という。飛行ルートに関する審査内容が公表されれば、同機種の運用・飛行ルートが明らかになる可能性がある。

 オスプレイは2007年からイラクなどで実戦配備。開発段階で4回墜落し、うち3回で計30人死亡した。昨年はアフガニスタンで空軍型のCV22型機が事故を起こしている。

 普天間へのオスプレイ配備については、沖縄県の仲井真弘多知事は「危険な普天間に何回も墜落した履歴を持つ危険な機種が来るのはとても受け入れられない」としている。

 一方、岩国基地周辺では昨年6月、廿日市市吉和地域で上空を通過した米軍ヘリの音で馬が暴走し、乗っていた女性が落馬して大けがをした。中国山地の低空飛行ルート沿いでは、騒音などさまざまな被害が出ている。

新たな騒音源に

 軍事評論家前田哲男さん(72)の話 オスプレイは、米海兵隊航空の指揮系統を通じて岩国基地でも一体運用され、岩国飛来の機会があるのは間違いない。岩国は滑走路が沖合移設されたとはいえ、周辺住宅街にとって新たな騒音源となる。 (編集委員・山本浩司)

(2011年9月15日朝刊掲載)

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