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法的規制含め協議を 核兵器廃絶 国連軍縮会議 作業部会設置 提案

 広島市南区で開かれている国連軍縮会議は2日目の27日、今春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の総括と今後の見通しなど4テーマについて討議した。核兵器廃絶に向け、法的規制も含めた「効果的な措置」を政府間で協議するよう求める意見が参加者から続出。国連での作業部会の設置や広島市での「サミット」開催が提案された。

 再検討会議をめぐる意見交換では、同会議議長を務めたアルジェリアのタウス・フェルキ外相顧問や政府高官ら6人が登壇した。

 フェルキ氏は、中東問題を引き金に決裂した同会議を「最終文書案は採択できなかったが、核兵器使用の人道的影響への憂慮と認識は高まった」と総括。文書案の勧告項目である、核兵器禁止を含む「効果的な措置」を検討する作業部会の国連総会への設置を、今後の道筋の一つに挙げた。

 この部会について、米国のエリオット・カン国務次官補代理は全会一致での合意形成を設置条件にしつつ「保有国と非保有国の対話を促進できる」と協力を明言。軍備管理協会(米国)のダリル・キンボール事務局長が打ち出した、来年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に合わせて広島で核軍縮の「サミット」を開くアイデアにも、カン氏は「日本がどう考えるかだが、持ち帰って真剣に考えたい」と応じた。

 核兵器の人道的影響の討議でも、非保有国の参加者が、広島の被害にも触れて法的規制が急務だと相次ぎ主張。南アフリカのヨハン・ケラーマン軍縮不拡散局長は、規制の具体的手段を詰める段階だとし、保有国抜きで議論を進める選択肢も示した。ただ、フランスの専門家は「非保有国でも核兵器の抑止力の恩恵を受けている国は、少なくない」とけん制した。

 このほかアジアの非核兵器地帯、軍縮・不拡散教育での市民社会との連携も取り上げた。実質的な議論はこの日で終了。最終日の28日は若者による平和活動の発表がある。(水川恭輔)

(2015年8月28日朝刊掲載)

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