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核廃絶で高校生ら討議 国連軍縮会議が閉幕 広島

 被爆70年の広島市に核政策を担う各国の外交官や専門家が一堂に会した国連軍縮会議は28日、南区のホテルで高校生や留学生を交えた特別会合を開いた。「核兵器なき世界」の実現に向けた若者の役割の重要性を確認。3日間の会期を終えた。松井一実市長は閉幕後の記者会見で、19年ぶりの広島開催を「前向きで具体的な提案があり、力強いメッセージを発信できた」と総括した。

 「世界学生平和会議」と題し、広島の高校生や留学生、長崎の大学生たち計8人が参加者の前で意見を交わした。広島女学院高3年の徳山実紅さん(18)=安佐南区=は、被爆証言を紹介するウェブサイト作りや、核兵器廃絶を求める署名集めなど同校の活動を紹介。カナダやドイツなどから市内に留学中の高校生4人は「異文化を受け入れる姿勢が平和を生み出す」などとアピールした。

 閉会式では、湯崎英彦知事が、前日の討議で焦点となった国連総会の下での法的規制を協議する作業部会の設置や、広島での核軍縮「サミット」開催のアイデアに言及。「各国の第一線の政策担当者らが参加し、熱心で意義深い議論になった。会議での提案を実行してほしい」と呼び掛けた。その後の記者会見で、松井市長は、核兵器の非人道性への認識をさらに広げるため、政治指導者の広島訪問に期待した。

 1989年から国内で開かれて25回目、広島では4回目となった会議は国連アジア太平洋平和軍縮センター主催。23カ国・5国際機関から外交官や専門家たち約80人が参加し、今春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の議論を踏まえて、核軍縮や不拡散の具体策を探った。次回の開催地や時期は未定。(水川恭輔)

(2015年8月29日朝刊掲載)

 世界学生平和会議に参加した中国新聞ジュニアライターの感想は以下の通り。

◆この会議では、日本の学生・生徒からはもちろん、他の国からの学生たちからも平和についての意見が聞くことができ、とても勉強になりました。それぞれの国が違う歴史を持ち、さまざまな教育をしているので、国によって平和についての考えが違うと知ることができ、強く興味を引かれました。面白かったのは、カナダのモントレーでは紛争解決ゲームが小学校の教育に取り入れられていて、そのときに学んだことが大きくなっても自分の考えに影響を及ぼしている、とカナダ人パネリストが言っていたことです。今後は、世界中の出来るだけ多くの国の高校生から、平和など、世界的な問題についての意見や、彼らの出身国の取り組みや教育について聞きたいと思いました。そうすることで、世界の国々の平和や友好に貢献できると強く感じます。(高2高矢麗瑚)

◆世界学生平和会議に参加して、僕は将来、世界を舞台に活躍したいという思いが強まりました。同世代のたくさんの人が世界でさまざまな経験をし、それを紹介している姿を見ていると、「かっこいいなあ」と憧れました。そして、平和についてより深く考えるためには、日本でとどまることなく、世界の現状を自分の目で見る必要があるとあらためて実感しました。
発表の傍聴を通して、「相互理解」の大切さを特に感じました。身近な友人との信頼を築くのはお互いのことを理解することから始まり、同様に国と国との信頼関係を築くこともそれぞれの文化や考え方を理解しようとする動きから始まるのだと再認識することができたので今回、参加して本当に良かったです。(高1風呂橋公平)

◆同世代の平和活動について詳しく聞く機会はあまりありません。今回はそんな貴重な体験ができました。特に、長崎の大学生が発表した、日本が他国に与えた被害を義務教育中に教えるべきだという内容にとても共感しました。実際、私も小さいころから原爆の被害について学ぶことは多かったのですが、日本の加害者の面を知る機会は少なかったです。このままでは、どうして韓国や中国に反日感情を持つ人がいるのか分からない人が増えるだけだと思います。日本が他国に歩み寄れる国になるためにも、彼女たちの活動を応援したいと思いました。(高2上原あゆみ)

◆会議では、核のない平和な世界を作るために私と同年代の若者がそれぞれ発表していました。若い人が自分の意見を言うことができる機会が増えているので、とてもうれしいです。発表を通して、お互いの意見を尊重するのが大切で、異なる文化を特定のイメージで判断してはいけないと言っていました。私も話し合うことが平和な世界への1歩だと思います。人はそれぞれ平和への価値観は違い、願いや考えを自分で持っているので、話し合いをすれば意見の相違点が分かり、互いの意見を聞くと、衝突を避けるための糸口を見つけることができると思います。平和教育をすることも大切です。幼いころから戦争の悲惨さを知ることは、将来戦争に発展させることをなくすために必要だと思います。私の考えは、人との交流の中で変わりました。自分の意見を持つためにも若い人の意見を聞く機会がこれからもっと増えてほしいです。(高2新本悠花)

◆世界学生会議に参加をして、いろいろな国の平和への取り組みなどを知ることができました。また、私が通っている高校の平和への取り組みも詳しく知ることができました。この会議で特に印象に残ったのが、広島修道大に来ている中国の留学生の話です。中国も14件の国連平和維持活動に参加しているということに驚きました。会議の中で「国のイメージ、国民のイメージを作り出してはいけない」という意見がありましたが、私自身、核兵器保有国だからという一つの物差しで判断しイメージをつくっていたように思います。偏見を持たずに、それぞれの国のあり方をしっかりと知っていかなければいけないと思いました。また、どこの国の人たちも平和を望んでいて、内容の濃い話を聞けました。これから、私もジュニアライターの一人として今よりも積極的に平和について考え取り組んでいくことが必要だと感じました。(高1山田千秋)

◆平和の実現のために必要なことは、平和教育によってみんなに共通するバックグランドを作ることである、という考えに深く共感しました。いろいろな立場から見た歴史を学び、戦争の恐ろしさを知った人は、戦争を起こそうなどと考えないのではないかと感じました。「核兵器は恐ろしい」ということがみんなに共通の認識として広まっていれば、自然と軍縮や核廃絶の方向に向かっていけると思います。(高2山田杏佳)

◆私は留学生が発表した内容が一番印象に残りました。特に、パキスタンを例にあげ「メディアが発信するテロのイメージしかなくなり、一定の目線でしか見られていない」という話が、まさに今の自分のことを指摘されているような気持ちになりました。しかも、自分で一定の目線でしか見れていないことに今まで気付いていませんでした。今回そのことに気付けたのはとても大きな収穫です。これからはいろいろな側面から物事を見て、先入観で判断しないようにしたいです。(高2岡田春海)

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