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大野陸軍病院 悲劇振り返る 元看護婦長が講演 廿日市

 現在の廿日市市宮浜温泉(旧大野村丸石浜)にあった大野陸軍病院の元看護婦長守屋ミサさん(90)=茨城県つくば市=が17日、廿日市市の日本赤十字広島看護大で講演した。原爆投下後、被爆者の救護所となり、その後の枕崎台風で多くの犠牲者を出した陸軍病院の悲劇の歴史に、約120人が耳を傾けた。

 守屋さんは新潟県出身。1945年5月、大野陸軍病院に赴任した。病棟にあふれた被爆者の様子などを語り「被爆した陸軍少将は看護婦2人が専任となり、手厚い治療を受けていた。あれだけの治療があれば、どれだけの患者が助かったか。生命にも位があった」と振り返った。

 その陸軍病院を同年9月17日夜、枕崎台風による土石流が襲い、同僚や患者156人が死亡した。守屋さんは「もう一つのヒロシマを伝える大野を、平和の里として大切にしてほしい」と訴えた。

 講演は市民グループ「新世紀に戦争を語り継ぐ会」が主催。守屋さんは、宮浜温泉にある枕崎台風犠牲者の供養塔での慰霊祭にも出席した。(山本秀人)

(2011年9月18日朝刊掲載)

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