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社説・コラム

どう見る安保関連法案 SEALDsメンバー・奥田愛基さん

「主権者」の抗議 全国に 参院選へ 野党連携必要

 安全保障関連法案が廃案になり、安倍政権が持ちこたえられない状況になれば、シールズは速攻で解散する。しかし、法案審議を止めるのは難しい。当初はこんなに活動が長引き、盛り上がると思っていなかった。でも気が付けば全国各地で抗議の声が上がっている。若者だけじゃない、国民的な動きになっている。

立憲主義の危機

 5月に学生たちで結成した法案に反対するグループ「シールズ」の中心メンバー。北九州市出身。キリスト教愛真高(江津市)を卒業後、明治学院大に進み、現在4年生。国会前などで「戦争反対」「民主主義って何だ」などとラップ調で声を上げ、若者が参加しやすいデモのスタイルが注目を集めている。

 安倍政権は閣議決定で憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を認めた。それでも改憲しなければ、実際に行使可能な状況にするのは無理だと思っていた。しかし、法案は提出された。特定秘密保護法が一昨年に成立した時も、反対の声は大きかったのに可決してしまった。これは立憲主義の危機だ。

 権力者は、憲法を勝手に変えることはできない。超当たり前のことだ。安倍(晋三首相)さんは「最高責任者は私だ」と言うが、じゃあ「主権者は僕たちだ」と言いたい。

 東日本大震災後、何かが変わる気がした。だけど政府は、原発をベースロード電源に位置付けた。原発が100パーセント駄目だとは言わないけれど、この国の変わらぬ現状に嫌気が差した。何か動かないとまずいと感じている。

政党の枠超えて

 法案を審議している参院特別委員会が15日に開いた中央公聴会に公述人として招かれ、反対意見を述べた。

 一緒に路上で声を上げてきた人たちの思いを伝えた。デモは政治に影響を与えないと思われているかもしれないが、公聴会で直接意見を表明できた。憲法学者たち他の公述人の意見を聞くと、政府側の説明不足ということが共通認識だったと思う。与党が考えているより、法案への世論の反発は強い。政治家の皆さんも政党の枠を超え、自分が正しいと信じる意見を表明してほしい。

 僕たちは無党派。自民党議員でも「この法案はおかしい」と主張する人であれば応援する。来年夏には参院選がある。安倍政権に対抗するため野党は選挙協力をするべきだ。誰も枠組みをつくることができないなら、自分たちが呼び掛けてつくらないといけない。(山本和明)

(2015年9月16日朝刊掲載)

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