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「違憲法案に反対続ける」 中国地方各地で集会、抗議の声 必要性に理解も 安保法成立へ

 安全保障関連法案の国会審議が最終局面を迎えた18日、中国地方では法案に反対する集会やデモが各地で開かれ、政府への抗議の声が相次いだ。賛成する市民は不安定な国際情勢を理由に理解を示した。

 広島市中区の原爆ドーム前では広島弁護士会が集会を開き、約800人が集まった。工藤勇行弁護士(42)は「法案は違憲。強行採決も文明国家ではありえない」と批判。「今後も廃案に向けた活動を続ける」と力を込めた。

 福山市のJR福山駅前でも集会があり、尾道市の松井陽子さん(67)は「安倍政権は説明が不十分というより、説明する気もない印象。法が成立すれば日本の民主主義は滅ぶ」と話した。庄原市で街頭演説した福山権二さん(64)は「憲法をどうするのか、国民的議論が必要だ」と訴えた。

 山口市の主婦井上洋子さん(65)は市中心部での集会に「安倍首相は山口の恥だ」と書いた手作りのうちわを持参。「米国に先に約束し、国民にきちんと説明しないまま成立させるやり方は問題だ」と憤った。

 松江市のJR松江駅前では約400人が集会を開いた。通りがかりに初めて参加した高校2年山主玲さん(17)は「授業で習った戦争の世の中に逆戻りしてほしくない」と話した。参加者は集会後、デモ行進した。

 岡山市北区では約70人が座り込み。大石和昭弁護士(65)は「最後の最後まで怒りの声を上げ続け、9条を守る運動を続けていく」と声を張り上げた。

 東広島市の大学院生五島尚香さん(24)は「これだけ国会周辺でデモ活動が行われているのに、議員たちは何も思わないのか」と首をかしげた。海上自衛隊の基地がある呉市の主婦真鍋久子さん(79)は「今日すれちがった隊員が数日後、戦場で武器を構えている、そんな未来は考えるだけで恐ろしい。父を呉空襲で失った。もう戦争で大切な人が亡くなったり苦しんだりするのは嫌だ」と話した。

 一方、賛成派は中国による海洋進出や政情不安な北朝鮮などの国際情勢を理由に挙げた。米子市の会社役員須山裕文さん(46)は「隣国からの領海、領空侵犯が当たり前になる中、日本は身を守る姿勢を示さなければならない」と話した。

 三次市の会社経営丸田洋司さん(59)は「自衛隊員が命の危険にさらされている現実にも目を向けるべきではないか」と政府を支持。呉市の石川寛さん(78)も「日本一国で国を守るのは難しい。全面的に賛成ではないが、安保法制の整備は必要だ」と理解を示した。

 広島市安佐南区の会社員村上秀樹さん(45)は「解釈の変更ではなく、国民投票を経て憲法改正した上で自衛隊を軍にするべきだ」と話した。島根県邑南町の森岡洋さん(79)は「自衛隊の海外協力は避けて通れない時代になった」と理解しつつ、「政府は賛否の判断ができるよう、国民にもっと資料を提供して説明してほしかった」と注文した。

(2015年9月19日朝刊掲載)

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