×

ニュース

福島菊次郎氏が死去 94歳 報道写真家 「ピカドン」 下松出身

 被爆や公害、原発などをテーマに戦後日本の在り方を問い続けた報道写真家、福島菊次郎(本名福島菊治郎=ふくしま・きくじろう)氏が24日午後7時50分、脳梗塞のため柳井市の病院で死去した。94歳。下松市出身。自宅は柳井市天神10の13の106。葬儀・告別式は行わない。

 軍隊生活を経て、戦争孤児を撮影して救援物資集めの写真展を開いたのをきっかけに写真の道へ。郷里の下松市から広島に通い、被爆者と家族の苦悩を10年にわたり取材した写真集「ピカドン ある原爆被災者の記録」(1961年)で評価を確立、上京した。

 反権力の立場に徹し、成田空港建設に反対する三里塚闘争、学生運動、公害、自衛隊や軍需産業などを取材。総合雑誌や写真集で発表した。82年からは山口県を拠点とし、上関町祝島の反原発運動にもカメラを向けた。

 執筆にも力を入れ、2003年から「写らなかった戦後」と題したシリーズを刊行。11年には福島第1原発事故の被災地を撮影した。12年、本人を追ったドキュメンタリー映画「ニッポンの嘘(うそ) 報道写真家 福島菊次郎90歳」が公開。13年には写真集「証言と遺言」を出版した。

(2015年9月26日朝刊掲載)

年別アーカイブ