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「黒い雨」指定地域見直しWG 年内に健康影響報告書

 広島原爆の投下直後に降った「黒い雨」の援護対象となる国の指定地域見直しで、厚生労働省の検討会が設けたワーキンググループ(WG)の初会合が17日、省内であった。拡大を求める広島市が根拠とする「原爆体験者等健康意識調査報告書」のデータを基に、住民の健康影響の有無や降雨状況を検証し、年内に報告をまとめる。

 委員8人のうち、疫学などを専門とする6人が出席。座長に東大の川上憲人教授(精神保健学)を選んだ。

 厚労省によると非公開の議事では、心身の健康影響について地域別比較や国の指定地域、未指定地域それぞれで黒い雨を浴びた人、浴びていない人の比較▽黒い雨を浴びた人の個別分布―など、市の報告書にない視点も含め再解析する方針を確認した。

 各委員が作業を進め11月下旬に中間報告、12月下旬にも最終報告を検討会に提出する。

 国は「黒い雨」の降雨地域のうち「大雨地域」を第1種健康診断特例区域に指定。当時の住民らは健康診断を受け、一定の病気に診断されると被爆者健康手帳を取得できる。一方、未指定地域では援護がない。市側は調査から「未指定地域で黒い雨を体験した人は心身の健康面が被爆者に匹敵するほど不良で放射線による健康不安が重要な要因の一つ」と主張している。(岡田浩平)

(2011年10月18日朝刊掲載)

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